ACRIが取り組む問題と解決へのアプローチ
はじめに
"ACRI"は、広くアクセシブルなWebサイトの研究と啓蒙を目指してつけられたプロジェクト名称ですが、
ACRIでは現在のところ視覚障碍者の方がWebサイトを利用される際の問題を明らかにし、それを解決する方法の研究と、
研究の結果得られた方法を啓蒙することに主眼を置いています。
現状の問題点
現在、視覚に障碍のある方々は、
Webサイトにアクセスするのに「音声ブラウザ」と呼ばれるソフトウェアを利用しておられます。
このソフトウェアは、Webサイトを読み上げる機能を持っています。
しかし、現状のWebサイトには、音声ブラウザを用いてアクセスすると、内容が理解できないものが多くあります。
その原因を、私たちは以下のように考えています。
- 現状のWebサイトの多くが、目で見て利用することを前提として制作されている。例えば:
- 情報を伝えるのに図やイラストが使われているが、その内容についての文字での説明がない
- 赤い文字で文章を書くことで、それが重要な情報であることが表現されている
- 視覚的には箇条書きとして書かれているが、HTMLでは箇条書きとして書かれていない
- 現在の音声ブラウザの機能が十分でない。例えば:
- 日付、人名、地名などを正しく読み上げられない ( スピーチエンジンの問題 )
- 見出し、箇条書きなどの文書構造を、それと分かるように読み上げられない
- 音声スタイルシートに対応していないものが多いため、
視覚系ブラウザとコンテンツを共用することが難しい
視覚に障碍のある方々にとって、インターネットの出現は革命的な出来事であると言われています。
それまで点字書物や対面朗読などによって文字情報を得ていたものが、自らが直接、
生の情報を得ることができるようになったからです。
しかし、音声ブラウザを用いると内容が全く理解できないようなWebサイトばかりでは、
そうした方々から、せっかくのチャンスを奪ってしまうことにもなりかねません。
また、現在、「アクセシビリティ」をキーワードに、
さまざまな閲覧環境に対応したWebサイト作りについて議論されています。
中でもWebサイト設計へのユニバーサル・デザインの適用などが注目され、
そのための方法論やガイドラインが多く発表されています。
しかし、音声ブラウザでの利用を考慮したWebサイトの数はいっこうに増えません。
私たちは、この原因を以下のように考えています。
- ガイドラインの問題
- 既存の方法論やガイドラインは、音声ブラウザでの利用ニーズを十分に満たしていない。
既存のガイドラインは、各種音声ブラウザに共通している問題の解決は可能だが、
個々の音声ブラウザ固有の問題の解決にはならない。
- Webサイト制作者の問題
- 音声ブラウザの存在そのものを把握していない
- Webサイト制作者の間に、音声ブラウザでの利用を考慮することの大切さに対する認識が浸透していない
- サーバサイドで利用するソフトウェア(全文検索ソフトウェアなど)が音声ブラウザでの利用を考慮していない
- 音声ブラウザの問題
- 現在の音声ブラウザの機能が不足していて、Webサイト制作者から見ると、不都合な点が多くある
- 現在入手可能な音声ブラウザの多くが高価であるため、
例え音声ブラウザに対応させる意識があっても個人レベルでは手に入れることが難しい
解決へのアプローチ
上記の現状と問題点をふまえ、私たちは以下のような活動を行っています。
- ACRIガイドラインの作成 - ガイドラインの問題の解決
- 音声ブラウザで快適に利用できるWebサイトを制作する際の、
具体的なノウハウを提供する方法論やガイドラインを作成しています。
このガイドラインは、Webサイト制作者の視点で書かれています。
これには、以下の内容が含まれています。
- 読み上げたときに聞きやすいWebサイトのための文書の書き方、マークアップの方法、
スタイルシートの活用方法
- 読み上げたときに聞きやすく、かつ見栄えの良いWebサイトの制作方法
- 現在の音声ブラウザの性質や不具合についての情報と、
それらに基づくWebサイト制作のノウハウ
- 目で見ることを前提として制作されたWebサイトを、そのまま読み上げると、如何に理解しがたくなるか
- 音声ブラウザでの利用を前提としたWebサイト制作の重要性
- 目で見る文章と音で聞く文章とでは、内容の組み立てが異なるということ
- ガイドラインの普及・啓蒙活動 - Webサイト制作者の問題の解決
- より多くのWebサイト制作者の方に、音声ブラウザの存在と、
その利用に配慮したWebサイトの制作方法を知っていただくために、
普及・啓蒙活動を行います。これには、以下の活動が含まれます。
- 各種セミナー、カンファレンスでの発表
- 官公庁、地方自治体、公共性の高いWebサイトへの提案活動
- 以下に示す音声ブラウザの配布
- また、サーバサイドで利用されるソフトウェアについても、
ACRIで作成したガイドラインに従って改良を行います。
改良に際してのノウハウやソースコードに対するパッチは公開を行い、
ソフトウェアの開発元に対するフィードバックも行います。
- 独自の音声ブラウザの制作と配布 - 音声ブラウザの問題の解決
- 私たちは、独自の音声ブラウザを制作・配布します。これは、以下の理由からです。
- 既存の音声ブラウザの機能不足を補ったものを提供したい
- 既存の音声ブラウザには高価なものが多いので、できる限り安価なものを提供したい
- Webサイト制作者にも都合のより音声ブラウザを提供したい
- 入手が容易な音声ブラウザを、一般のWebサイト制作者に認知されやすい方法で配布することにより、
私たちの方法論やガイドラインの普及を促進したい
これら、私たちの活動は、このサイトをご覧の皆様のお力添えなしでは到底なし得ないものです。
私たちは、メーリングリストや掲示板、カンファレンスやセミナーなど多くの手段や機会を設けて、
みなさまのご意見を伺いたいと考えています。みなさまのご意見、ご協力をよろしくお願いいたします。